本文へジャンプします。

パブリッククラウド導入大作戦! 第1回「今更聞けない!"クラウド"を正しく理解しよう」

こんにちは、co-meetingの吉田です。

これから数回にわたり、クラウドコンピューテイングを企業で活用するにはどうすれば良いかを考えてみたいと思います。

内容予定

第1回 今更聞けない!クラウドコンピューティングをきっちり理解しよう
第2回 セキュリティーリスクとクラウド環境
第3回 最大の効果を得る活用方法とは?〜目的別導入方法検証
第4回 実導入にむけて〜ステークホルダー別説得作戦

以上の内容については、世界の最新事例や国内の動向、各種調査結果を踏まえつつ、お届けしようと思っております。

第1回 今更聞けない!"クラウド"を正しく理解しよう

このブログをご覧の方で「クラウド」という言葉を知らない方はいないと思います。ですが「クラウドって何?」と聞かれて、きっちり説明できますでしょうか?実はあいまいだったりしませんか?

企業でのクラウドコンピューティング利用においては、最大の課題を「企業内でのクラウドコンピューティングへの正しい理解」だと筆者は感じております。従って、クラウドコンピューティングに関して解りやすく説明し、理解を得る活動は実活用に向けて重要な取り組みだと思います。

そこで、今回は今一度「クラウドコンピューティング」とは何かを振り返り、整理してみたいと思います。

「クラウドコンピューティング」の定義

多くの場合、略されて「クラウド」と言われることが多いのですが、正式には「クラウドコンピューティング」という用語になります。では、クラウドコンピューティングとはどういうものなのでしょうか。

NIST(アメリカ国立標準技術研究所)というところが「クラウドコンピューティング」という言葉の定義を示しており、これを引用するのが最も適切に説明していることになると思います。なおNISTは2011年5月にドラフト版「クラウドコンピューティングの概要と推奨事項(SP 800-146 – Draft Cloud Computing Synopsis and Recommendations)」という文書を公開しており、アメリカでのクラウドコンピューティングに関する事例や注意すべき点、特徴の取りまとめなどの活動を積極的に行っております。

「クラウドコンピューティングの概要と推奨事項」の冒頭では「クラウドコンピューティング」について、以下のように定義が書かれています。

クラウドコンピューティングとは

・5つの特徴
・3つのサービスモデル
・4つのデプロイメントモデル

を持っているとしています。

5characteristics

4deploymentmodel

3servicemodel

  そのまま書くと、一体何のことやら!
  では、個別にみていこうと思います。

クラウドコンピューティングの「5つの特徴」

  クラウドコンピューティングの特徴を理解する上で、まず抑えないといけないことが「コンピューティング」という言葉自体だと思います。この「コンピューティング」に対応する端的な日本語を筆者は思い付きません。
  無理やり表現するならば「コンピューターの力」という感じでしょうか。。。

コンピューターの力とは

1, やりたいことが実現できるアプリケーション
2, アプリケーションを動かす為の基盤となるソフトウェア群
3, 基盤となるソフトウェアの実行を可能にするハードウェア群
4, 遠隔のハードウェアを繋ぐネットワーク網

といったもので構成されています。

現在は企業がこの「コンピューターの力」をうまく活用し、ミッションへ取り組み、ビジネスを進めていくことこそ企業活動であると言える時代です。従って「コンピューターの力」を調達する方法の改善は、非常に重要な課題であると言えます。

「クラウドコンピューティング」が注目されている理由がここにあります。「クラウドコンピューティング」は従来のコンピューター資源の調達方法をドラスティックに変化させてしまいました。

「クラウドコンピューティング」がもたらした、コンピューター資源の調達における変化とはどういうものでしょうか。それは以下の5つの特徴に表現されています。

1, 何時でも使い始められます
2, ネットワークを使ってアクセスして下さい
3, 必要なものはこちらで準備しておきます
4, 激増も激減も設定変更で対応できます
5, お支払いは使った分だけです

という感じです。

「クラウドコンピューティング」と言われるものがもたらした最大の変化は「コンピューター資源の所有」から「コンピューター資源のサービス利用」への変化であるという点です。物理的なコンピューターの調達には、時間とお金が必要です。また、必ず冗長なリソース調達が発生します。時間とお金がかかることは、企業活動においては圧倒的なマイナス要因です。この点を解決するために「クラウドコンピューティングベンダー」が準備したコンピューターの力を「サービス」という形態で契約し、利用することこそが「クラウドコンピューティング」だと言えます。

クラウドコンピューティングの「3つのサービスモデル」

さて前章では「クラウドコンピューティングとは、コンピューターの力を"サービス"という形態にて、契約し利用すること」とまとめました。では、この「サービス」とはどういったものになるのでしょうか。

前章では「コンピューターの力」を

1, やりたいことが実現できるアプリケーション
2, アプリケーションを動かす為の基盤となるソフトウェア群
3, 基盤となるソフトウェアの実行を可能にするハードウェア群
4, 遠隔のハードウェアを繋ぐネットワーク網

と説明しました。

4のネットワークについてはインターネットの回線を指しますので、現在ではどの企業も持っていると思います。つまり、「サービス」として契約し、調達したい部分は1〜3になります。

これら1〜3のどこまでを調達するか。逆にいうと、企業のミッションやビジネス活動を遂行する上で、どこまでが準備可能かについては、それぞれの企業規模であったり、ITスタッフの人員数や力などによってまちまちだと思います。

例えば、ごく少数の社員の企業では、専門のITスタッフをおくことは難しいため、できる限り広範囲のサービスを利用したいと考えるかもしれません。また、大企業でIT専門のスタッフを抱えている場合は、アプリケーションの開発や動かす基盤については自分たちで行うので、ハードウェア群をサービスとして利用したいと考えるかもしれません。

NISTの定義では、この「サービスの範囲」を「3つのサービスモデル」として説明しています。

1, ハードウェア群のサービス提供である「IaaS(Infrastructure as a Service)」
2, 1の上にアプリケーションの実行基盤を載せた「PaaS(Platform as a Service)」
3, 2の上にアプリケーションを載せた「SaaS(Software as a Service)」

と定義されています。

ちょっとかみ砕いて書いてみると・・・

3,SaaS
 仕事で使う機能やアプリケーション(例:メーラー、顧客管理、ネット通販)をサービスとして提供
2, PaaS
 「仕事で使う機能やアプリケーション」を稼働させるための基盤をサービスとして提供
1, IaaS
 「「仕事で使う機能やアプリケーション」を稼働させるための基盤」の中の最下部にあたる
 サーバーやストレージ(記憶装置の集合)、ネットワークなどのいわゆる「インフラ」
 などをサービスとして提供する

となります。図にするとこうなります。

Xaas

これが、「クラウドコンピューティング」における「サービスの提供形態(サービスモデル)」です。実際に利用する場合は、これらのサービスモデルから、自分たちの利用目的・要件に合わせて選ぶことになります。

例えば、このような要件があったとします。

メール1件の容量も増えてきて、自社のメールサーバでは容量が不足してきた。
さらに、新しいウイルスも心配。これらの管理コストも削減したい!

さて、この要件ではどのような対応方法が考えられるでしょうか。

「クラウドコンピューティング」を活用しようとする場合、いくつかのパターンが考えられます。まず「メール」というアプリケーションをどのようにユーザーへ提供するか、組み合わせがあるからです。

Servicecreation

一番左の従来であれば、インフラ部分・OS・アプリケーションの稼働環境・アプリケーションの全てを自社で用意することをさしています。もしくは、これら全てをどこかの会社に保持してもらい、自社で占有するようなレンタル契約となるかと思います。

IaaSを利用する場合・・・(左から2番目)

  ユーザー企業は、アプリケーションに加え、アプリケーションが稼働するための設定なども行う必要があります。
  このサービス利用は最も企業側の自由度を獲得することになるでしょう。逆にいえば、最もやらないといけないことが多くの、当然専門性も高くなります。従来に比べて開放される部分は、ハードウェアの調達時間と管理コストになるでしょう。

PaaSを利用する場合・・・(一番右)

  ユーザー企業は、PaaS上で動くソフトウェアを準備する必要があります。
 
そのため、SaaS利用よりもユーザーへの機能提供開始が遅くなるかもしれません。また、SaaSよりも管理コストが発生します。ただし、ハードウェアや
アプリケーション稼働における基盤部分については面倒をみなくてよいので、従来よりも管理コストを抑えることが可能です

SaaSを利用する場合・・・

  ユーザー企業は契約しておしまいです。
 
支払っている期間メールを使うことができます。ハードの面倒やソフトウェアの面倒は全てベンダーに任せられます。ただし、クラウドベンダーが提供するメニューからの選択となり、自由度が低いことがあります。場合によっては、完全に要件を満たすことができないかもしれません。

ということで、どれが一番良いか判断するためには、企業にて何をどこまで自分たちで行いたいか、行うことができるのかによります。場合によっては、IaaSよりもSaaS利用の方がコストメリットを享受できるかもしれません。どのサービスモデルを選択するかについては、次回以降に「もっともられる活用方法」について考える回を設けますので、今回はここまでとしておきます。

クラウドコンピューティングの「4つのデプロイメントモデル」

それでは最後にデプロイメントモデルをみてみます。

  デプロイメントモデルとは、「コンピューター資源をどこに配置するか」という意味です。
  NISTの定義では、配置する場所と誰と共有されるのかという点で4つパターンがあるとしています。

1, Private Cloud
2, Community Cloud
3, Public Cloud
4, Hybrid Cloud

  クラウドコンピューティングを理解するためには、「仮想化」というキーワードを理解する必要があります。
  通常コンピュータとは物理的なサーバーなどをイメージすると思います。この「物理的なサーバー」を仮想的につまり、ソフトウェアの力でシミュレーションし、あたかも物理的なサーバーと同じ動きをするものが「仮想サーバ」です。

  仮想サーバはあくまで1アプリケーションと言えるため、物理的なサーバー上で何台も動くことが可能になります。この結果、効率よく物理的なサーバー使い切ることが可能になりました。
  この「仮想サーバ」を動かす技術こそが、クラウドコンピューティングを支える基本的な技術となります。

現在、この「仮想サーバを動かすための基盤技術」はオープン化されているものもあり、物理的なサーバーを持っているのであれば、自分たちで「クラウド」を運営することも可能になってきております。この自前のサーバーを駆使し、クラウドを実現することを「プライベートクラウド」と言います。プライベートクラウドとは、あくまでクラウドコンピューティングの技術を使い、自前のリソースを有効活用することです。

パブリッククラウドとは、パブリックつまり他の企業とも共有される「インターネット上に配置されたクラウドコンピューティング」を指します。複数企業による、共同購買のような状態です。インターネット上に配置されるため、多くの企業が利用できることから、もっともリソースの効率という点で優れています。ただし、インターネット上に配置にされる特性から様々な課題も生まれると言えます。

最後がプライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を同時に利用する「ハイブリットクラウド」です。まさにプライベートクラウドの利点とパブリッククラウドの利点、もしくはお互いの弱点を2つの配置を利用することで「いいとこ取り」を目指す配置と言えます。ですが、同時にもっとも技術的には難しい難易度が高めの配置ともいえます。

これら4つの配置については「セキュリティリスクとクラウド環境」という回を設け、詳しくその特徴と利点や課題を考えたいと思っています。

まとめ

さて、以上NISTの定義を元に「クラウドコンピューティング」というものについて理解をすすめてきました。「クラウドコンピューティング」は私たちに何をもたらしているのでしょうか。筆者は以下のように考えております。

1, コンピューターリソースの調達方法と廃棄方法の変化をもたらす
2, コンピューターリソースの維持運営にかかるコストを見直すことができる
3, コンピューターリソースへの大幅で急激な変化要求に対応することが可能になる

  「クラウドコンピューティング」とは、あくまで「コンピュータの力」を企業が利用すること上で、従来手法で解決できなかった課題への一つの答えだと思います。ただし、あくまで「一つの答え」です。
  企業での課題がすべて解決するわけではなく、あくまでどのように使うかがポイントだと考えております。

したがって、結局のところ

「企業のミッションやビジネスモデルにおいて、どのようにITを活用すべきか」

という大命題への取り組みにおける、道具の一つのにすぎません。

より積極的にITの力を使おうとする企業こそ、クラウドコンピューティングの力を生かすことができる企業となり得る点においては従来となんら変わりはないと思います。ITの力を積極的に利用することができる企業となるためには、企業内のITリテラシー向上は必須です。残念なことに日本企業の「ITを利用する力」はアメリカから2年以上遅れていると言われており、その差は広がる一方だという見方もあります。

多くの企業において「クラウドコンピューティング」への理解が進み活用されることを期待しつつ、第一回をお届けしたいと思います。

ニフティクラウド 導入相談窓口
ニフティクラウド 無料セミナー

閉じる

閉じる

クラウドブログ編集部

クラウドブログ編集部

ニフティクラウド ユーザーブログ編集部のアカウントです。 編集部からのお知らせや、レギュラーライター以外のゲストによる寄稿記事を掲載していきます。

浜中 慶

浜中 慶

1980年、神奈川県生まれ。2003年ニフティ入社。 ポータルサイト開発を中心に、音楽配信サービス、CGMサービスなど様々なプロジェクトに企画/デザイン/システム担当として参加。現在は@niftyのポータルサービス向けコンテンツ管理システムの企画/開発/運用を担当。

吉田 雄哉

吉田 雄哉

株式会社co-meetingの創業メンバー。「取締役&External- facing Technologist」と名乗り新しいIT技術を広く伝える活動とWebアプリケーション開発を行う毎日。パッケージベンダーでのSaaS立上げ・製造業の情報システム部門で企画やPM・受託開発と従事してきたため、ベンダーサイドとユーザサイド の両方の視点を持ち合わせる。

石田 健亮

石田 健亮

株式会社ドリーム・アーツで小売事業者向けSaaS「Shopらん」を企画、開発。メインの仕事はプログラマーだがサーバー管理や営業もこなすユーティリティプレイヤー。最近好きな事はパフォーマンスチューニング。特に並列化プログラミングがマイブーム。キライなことはデータセンターでの作業。騒音と乾燥が弱点。ニフティクラウドでデータセンターに行く必要が無くなったことが本当の利点だ と思っている。

五月女 雄一

五月女 雄一

ニフティでは「インフラを守る簡単な様で奥が深いお仕事」をしています。 夢はインフラの気持ちが読めるエンジニアになること。

わたなべ かずひろ

わたなべ かずひろ

専門学校卒業後、ソフトウェア開発会社で電力系統制御システムの開発に従事。その後、CD-ROM等マルチメディア系PCソフトの開発を経て、1998年フリーランスに。 2000年8月に株式会社イーツーの設立に参画。携帯を含む様々なWeb系のシステム開発に携わる。現在はiPhone/Androidアプリなどの開発も手がけている。

市角

市角

ニフティクラウドのコントロールパネル設計・開発をメインに、たまにインフラの運用やお手伝いもやっていたりします。コントロールパネルや新機能の活用方法、アイデアなどを中心に書いていく予定です。

仲山 昌宏

仲山 昌宏

歌って踊れるインフラエンジニア兼、PHPもRubyもJavaも書くPerl使い。 物理サーバの運用に飽きて、フルラックに格安サーバ詰めて自宅プライベートクラウドを構築中。 今年は個人的には分散処理を攻めていきます。

猪飼 賢広

猪飼 賢広

1984年、愛知県名古屋市生まれ。大学は福島県にある某大学。2008年ニフティに入社。 開発系部署に配属後、主に各種テーマサイト開発のシステム面調整、開発進行管理役などとして参加。 現在もPC・ガラケーサイトの開発まわりを担当。インフラまわりを触る案件にも携わっており、日々修行中。 好きな芸人はなかやまきんに君とレイザーラモンRG。

久江 裕之

久江 裕之

ニフティクラウドのインフラ運用、OS提供の仕事をしています。 新しいOSやイメージが出る時にこのブログでご紹介いたします。入社5年目。一流のインフラエンジニアを目指して日々勉強中。

竹内 豪

竹内 豪

ニフティクラウド エンジニア

山口

山口

ニフティクラウドの基盤設計、新サービス/アライアンス/インフラ企画、その他雑用全般を担当しています。 クラウドに欲しい機能や、こんなふうに使ってほしいという想いが共有できれば良いですね。

芳中 隆幸

芳中 隆幸

ニフティクラウドの開発、運用を担当しています。

酒井 浩平

酒井 浩平

ニフティクラウドの中にいます。 ネットワークまわりの運用・開発や自動化などに取り組んでいます。 すべてのエンジニアを幸せにすることを目指しています。

higebu

higebu

ニフティクラウド IaaSのエンジニアです。 ネットワーク、DRサービス with VMware vCloud® Air™ Technology辺りの担当をしています。

武田

武田

ニフティクラウドの開発・運用を担当しています。 各種機能の内容についてなどで執筆させていただく予定です。

森藤 大地

森藤 大地

データに関する仕事が好きです。

宮原徹

宮原徹

日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長兼CEO。仮想化技術に関するコンサルタントとして長年活動しており、特にベンチマークテストによる性能評価を得意としている。

荒谷翔

荒谷翔

株式会社はてなでMackerelのセールスデベロッパーとして勤務しています

東條 望

東條 望

2014年にニフティへ中途入社。 入社後から現在まで、ニフティクラウドのサービス企画・開発を担当しています。 各サービスの紹介を執筆させていただく予定です。